鉄欠乏性貧血

img20170204104740322499.png 動悸・息切れ img20170204104455881704.png 頭痛 img20170204104440641691.png 不眠 img20170204104426481730.png 氷を囓りたい衝動 img20170204104248919752.png 肌荒れ img20170204104233372843.png イライラ img20170204103814725625.png めまい

その症状、貧血が原因では?

 疲れやすい、朝起きにくい、ちょっと動くとすぐに息切れがする、顔色が悪い、肌が荒れやすい、爪がへこむ、顔や手足がむくむ、やたらと氷がかじりたい。
 もしかするとそれは貧血のせいかもしれません。
 

鉄欠乏性貧血とは

 貧血は赤血球の病気であり赤血球の減少により全身に必要な酸素が行き渡らない状態です。貧血を起こす病気はたくさんありますが、その中でも有病率(その病気を持っている人の割合)が最も高く、その割に軽視されているものに鉄欠乏性貧血があります。
 鉄分は赤血球の中にあり酸素を運ぶ働きをするヘモグロビンに必要な成分ですが、これが不足することで赤血球がきちんと作られず貧血となってしまいます。
 

どんな人に多い

 閉経前の女性では生理出血により定期的に血液を喪失しています。日本の健康な女性10代~50代では15.7~25.8%に貧血が存在すると報告されています(Int J Hematol. 2006;84:217-219)。そのうちの大半は鉄欠乏性貧血と考えられます(もちろん他の疾患による貧血の可能性もあります)。
 その他には成長期の子供さんは体を作るために鉄分の需要が高く、食事内容が乱れたりしていると鉄分が不足して鉄欠乏性貧血になります。
 男女とも中高年以降では胃腸のポリープや癌からじわじわと出血が続いて鉄欠乏性貧血となることがあります。
 

貧血があるとなぜ問題か

 酸素が全身に行き渡らないので、さまざまな身体組織で酸素欠乏状態に陥る結果、上述の症状が出ます。
 また妊娠すると生理的にも貧血になりますが、妊娠する前から貧血であると妊娠によりさらに貧血が悪化します。妊婦の貧血と出生時の低体重や早産との関連を示す報告(BMJ 2013;346:f3443)もあり、これから妊娠することを考えている若い女性は妊娠する前から貧血の対策をしておくことが必要です。
 

どうやって対策するか
診断

 血液検査で貧血があることを確認し、さらに生化学検査で鉄代謝に関連するマーカーを測定して診断します。貧血には至っていなくても鉄分が欠乏している鉄欠乏症もあります。

生活習慣改善

 鉄分を多く含む食材をとる、調理法を一工夫するなど、生活習慣を改善することでも鉄分摂取が向上することができます。
 吸収率が高い鉄分(ヘム鉄)を多く含む食品として赤身魚、レバー、魚、貝類などがあります。
 吸収率が低めではありますが動物性タンパク質やビタミンCと一緒に摂取すると吸収がよくなるものとして青菜、ひじき、大豆製品、豆類などがあります。

薬物療法

 鉄欠乏性貧血では鉄分のお薬の内服が第一選択になります。ただし鉄分のお薬は吐き気や腹痛、便通異常などを来しやすく、内服が困難な方もいらっしゃいます。どうしても服用困難な場合は医療機関で鉄分のお薬を注射で投与することもあります。